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コミットメントライン

財務内容が優良で資金管理が行き届いている企業が対象

金融機関が取引先企業との間であらかじめ融資実行の極度額を約束しておき、企業側はその約束期間内であれば極度額の範囲内で随時必要な金額の借入れ、返済を繰り返すことができるという融資形態「コミットメントライン(融資確約枠)」契約の利用が活発化してきた。約束期間(コミットメント期間)は原則一年間であるが、それを超える期間設定も可能であり、金融機関は当該コミットメント(約束)の対価として所定の手数料(コミットメント・フィー)を受け取る。この手数料は融資枠の利用実績にかかわりなく受け取ることができ、実際の利用実績に応じた利息を受け取るだけの当座貸越契約に比べて金融機関の収益上のメリットは大きい。

当該手数料は、実質的に利息の一部であり利用実績が少ない場合には法外な利率となって利息制限法違反となるとの批判があったが、「特定融資枠契約に関する法律」(平成一一年制定)により利息制限法の適用を除外されることになった。ただし同法では金融機関以外の契約当事者(利用企業)を、会社法二条六項イ(旧商法特例法一条の二第一項)に定める「大会社」や資本金三億円以上の株式会社等に限定し、一般の中小企業等は対象としていない点に注意を要する。コミットメントラインは、これを利用する企業側にとっても、資金が必要になるたびに借入手続を経る手間が省け、また金融機関が事前に融資を確約するため資金繰りが安定するメリットがあるので、その利用は拡大する傾向にあり、シンジケートローンとの併用やコミットメント期間付タームローン(長期貸付)といったように、利用形態も工夫されている。

金融機関としては、多額の与信供与を将来にわたって約束するものであるから、対象企業は、信用格付が上位であり、かつ原則として資本金が三億円以上の無担保融資に耐えられる取引先に絞られる。資金使途に制限をつけないだけに、財務内容が優良で資金管理が行き届いている企業を選んで取り上げるべきであろう。コミットメントライン契約においても一般的に借入人の信用悪化は期限の利益喪失事由となり、かつ契約の終了事由となって金融機関は融資枠を解消することができるが、かような事態に陥れば、現実に融資された額については多額の損失負担を余儀なくされることになる。