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ノンリコース・ローン

対象事業の内容、成算見込み、不首尾に終わった場合の事業の清算価値などを十分検討しよう

「ノンリコース・ローン」とは、債務履行の責任財産の範囲が限定されており、債務者の一般財産への履行請求権がない形態の融資であって、貸し手は、責任財産を処分しても回収できない融資元本が残った場合に、債務者に対してそれ以上の返済を求めることができない。この場合の「ノンリコース」とは「債務履行の遡及権なし」または「一般財産への履行請求権なし」の意味である。米国における融資はノンリコース・ローンが原則であるが、日本の金融機関融資の大多数は債務履行の責任財産の範囲を限定せず、債務不履行の場合には債務者の全財産を対象に履行請求できるものであり、ノンリコース・ローンはなじみの薄いものであった。

しかし最近は、たとえば「プロジェクト・ファイナンス」として利用され始めている。これは金融庁「金融検査マニュアル」の定義によれば「特定のプロジェクト(事業)に対するファイナンスであって、その利払及び返済の原資を原則として当該プロジェクトから生み出されるキャッシュ・フロー(収益)に限定し、そのファイナンスの担保を当該プロジェクトの資産に依存して行う金融手法」であり、ノンリコース・ローンはそれに適合した融資形態といえる。なお、従来いわゆる「プロジェクト融資」と称されていたものは、特定事業への投下資金を融資するものでありながら、責任財産の範囲を融資先の一般財産に及ぼすこととされていたので、ここにいうプロジェクト・ファイナンスとは異なる。

ノンリコース・ローンは、融資先の信用を頼りに行うのではなく、返済財源となる対象事業等のキャッシュフローの獲得見通しを判断材料として取り上げるものであるから、その審査にあたっては、事業の内容、成算見込み、不首尾に終わった場合の事業の清算価値などを十分検討する必要がある。プロジェクト・ファイナンスの場合はシンジケートローン形式で融資に参加するケースが多いが、その場合でも融資判断はアレンジャー任せではなく参加する個々の金融機関独自で行うべきである。