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シンジケートローン

与信判断は参加する個々の金融機関が行うべきもので、アレンジャーやエージェントはその責任を負わない

企業の資金ニーズに対し複数の金融機関がグループ(シンジケート団)を組成して同一の条件で融資を行うシンジケートローンは、欧米で発達した融資形態であり、日本においてはかつて大企業の大型融資案件向けに組成された「協調融資」にその原型をみることができる。現在のような形で取り上げられるようになったのはここ数年のことであり、大手行が自己資本比率の向上を意識して信用リスクの分散と資金効率のアップをねらい、自行の大型融資案件を他の金融機関へ振り分ける戦略を打ち出したことと、融資ニーズの乏しさに悩む地域金融機関が優良融資案件獲得のチャンスとして積極的にシンジケートへの参加に応じたことによるところが大きい。

シンジケートローンにおいては、借入人が指名する金融機関がアレンジャー(主幹事)になってシンジケートに参加する金融機関の融資団を組成し、また借入人との唯一の交渉窓口となって同一の融資条件での融資をまとめ上げる。融資の実行、返済・利払事務の管理はエージェント(事務代理人)が一括して担当するが、エージェントとアレンジャーは兼務されることが一般的である。借入人にとっては、融資案件の交渉窓口が一つになることで大幅な省力化につながり、かつ比較的短期間に大型の資金調達がまとまるメリットがあり、一方、融資団に参加する金融機関側にとっても、個別では取引チャンスの少ない優良新規企業との取引獲得につながることの魅力が大きいので、シンジケートローンの増加は著しいものがある。

しかし、シンジケートローンもいいことずくめではない。最近では借入人の信用格付がかなり劣るケースも顕著であり、借入人のデフォルトにより思わぬ損失を被る例が表れている。注意すべきは、シンジケートローンといえども借入人への与信判断はあくまでも個々の参加金融機関が行うべきもので、アレンジャーやエージェントは契約書に定められた事項以外はいっさいその責任を負わないことである。また、シンジケートローンには既収の銀行取引約定書等は適用除外とされている。シンジケートローンに参加する際は、事前に契約書をよく確かめておくことが必要である。